2013年5月12日日曜日

貴州料理@胡同四十四号厨房

本日は、什刹海にある名店、「胡同四十四号厨房」へ、貴州料理を食べに行った。


実は我々、貴州料理が大好き。

一度、近所にある貴州料理店に食べに行って以来、
他の中華料理とは明らかに様相が違い、食べたことない未知の味なのに、
何故かしっくり舌にあってしまうという、謎の貴州料理に、心が囚われているのだ。


 というわけで、今回訪れたこの名店。

中国のオシャレスポット「什刹海」にあり、
名前も「胡同四十四号厨房」と、見るからにオシャレ。
さらに名前からも分かるように、老北京の居住スペース胡同を、
そのまま買い取って改装して作っているというオシャレっぷり。
まさに非の打ち所のないオシャレ。

そんなオシャレ店なので、我々が訪れた夜八時近くになっても、店の中は人でいっぱい。

中国人は規則正しくご飯を食べるから、普通は八時に行けばあっさり入れるのに…!



店の人に聞いた所、少なくともあと30分待つということ。
店の正面に待機所があるので、そこで待っていて欲しいと言われた。
空っぽのお腹を抱えながら待機所に入ると、なんとそこは託児所が!
一瞬間違えて入って来てしまったかと思ったが、
子供「ねえお母さんまだ~~?」
保育士「お母さんはまだお店でご飯食べてお話してるから、ちょっと待とうね~」
という会話の内容から、ここが間違いなく店付属の託児所であることが伺える。
専門の託児所があるなんて、なんというオシャレ…!


そして待つこと一時間。やっとのことで、順番が呼ばれ、ついに店の中に入る事に。
中に入ると、そこには、胡同を改造した不思議な空間が広がっていた。


写真が暗くてわかりにくいが、この店は、胡同と胡同の間の道を含む、
この一帯の胡同を全て買いあげて改造している。
胡同と胡同の間にある道も、そのまま丸ごとレストランとして使用しており、
ガラス張りの天上からは、空を見ることが出来る。

なんというオシャレ…。一瞬頭がクラッとする。

しかし、我々もオシャレさでは負けていない。
夫婦どちらもユニクロを全身身にまとっている。
Tシャツ、ズボンだけではない。下着、靴下まで、全て我々が装備しているのは、靴以外全てユニクロだ。
中国ではユニクロは中々高い。
したがって全身ユニクロの我々は、中国で言えば、かなりのオシャレさになるのだ。

我々は構わず中にずんずんと入り、そのまま注文をする。
しかし、メニューには写真がないので分からない。
というわけで、なんとなく勘で注文した。


そしてまず店員が運んできたのが、前菜と食前酒。

お分かり頂けるだろうか、この食前酒の色。
鮮やかなピンクとバラ色。
これは何なのかと言うと、この店イチオシのバラのお酒だ。
お酒が苦手な私だが、ひと嗅ぎして、その余りに良いにおいに負けて、ぐぐっと飲んでしまった。

おおお、なんてフルーティーでおいしいのだ!!!


最初に来たのが、前菜で頼んだ玫瑰马蹄
鮮やかなバラ色の前菜だ。
それもそのはず、この料理の「玫瑰」はバラの意味。そして「马蹄」はクワイ。
つまり、これはクワイのバラ漬けだ。味は何だか甘い。

これも非常に美味しかったのだが、
しかしながら一時間待ちぼうけを食わされている我々としては、
こんな甘ったるいデザートのような食べ物では待ちきれない。
これをつまむのを早々に切り上げて、他の料理をひたすら待つ。



最初に来たのが、この豆腐料理。
名前は「自制豆腐」。そのまま自家製豆腐の意味。

薄い揚げ出し豆腐が、豆乳に使った料理なのだが、これがとてつもなく美味しかった。
まず、豆腐の味自体がメチャクチャうまい。まるで玉子豆腐のような、あっさり感。
そして、ふわふわとしたこの揚げがバツグン。
その揚げの中に、適度に辛い、超まろやかな豆乳が染み渡って、
ああ、超おいしい!!!
思わずスープ込みで、一瞬で完食!これは次の料理も期待出来る。
(ちなみにこの料理、店員に貴州料理かと聞いたら、知らないと言われた…)



続いては、「乡村野趣」という料理。
メニューの説明書きでは、「肉や野菜を辛く揚げました」と書いてあったので、
もっとフライ状の物を想像していたのだけれども、フライというか素揚げ…。
しかし、これまた美味しい。
この茶色い部分は、何かしらの植物の茎なのだけれども、これがとんでも無く固い。
しかし、噛むと美味しくて、とても野趣に飛んだ、面白い料理だ。
貴州料理では良く野趣にとんだ謎の茎が出てくるので、きっとそれもその一種だろう(適当)



そして最後はこちら!貴州名物「酸湯魚」
貴州料理と言えば酸湯魚と言われる程有名なミャオ族のこの料理だが、実は我々、食べたことがない…。
なぜなら、二人だけで食べるには余りにも大きすぎる料理だからだ。
しかし、この店では、他の客が頼んでいる物を見たところ、あまり大きくない。
恐らく二人で食べきれるだろう、そう踏んで今回は頼んだのだ。

使う魚は、自分で選ぶことができるが、今回はシンプルにナマズ。
私はあまり川魚は好きではないのだが、ナマズだけは別格だ。
皮がプルプルとして、実がまるで肉のようで、まるで川魚の感じがしないからだ。



器によそって、スープを一口飲んでみる。

「!?」
その不思議な味に、私は思わず箸を止めた。

トマトベースのスープにレモングラスのような香り、そして酸味…。
なんだかトムヤムクンにも近いような…。

しかし、一口ふた口とする内に、その考えを改めざるを得ない事に気づく。

このスープ、とんでもなく後味がまろやかだ。
しかし、一体何のまろやかさなのかが、さっぱり分からない。

トムヤムクンだったら、間違いなくココナッツミルクだ。
しかし、これは明らかにそれとは別物だ。

今度は中に浮かんでいる白菜を食べてみる。
そこで初めて気づいた。
あれ…、この白菜発酵してる…
キムチではないけれども、ほんのり漂うキムチのような発酵臭。

そして、スープを再度飲んだ時、やっと私は気づいた。
この酸味とまろやかさの正体が、発酵品由来であることに…!

しかし、その事に気づいた時、既に鍋の中は、すっかり空になってしまっていた…。

しかし相変わらず、貴州料理は本当に面白い。そして面白い。
今まで食べた貴州料理、全て一品も外したことがない。
今回もまた記録更新である。
また貴州料理への好奇心が、むくむくと沸き上がってきてしまった!
いつか本場貴州に行かないと~~~!

香港料理@糖朝

本日は、香港料理の超有名店、「糖朝」の北京支店へ。


糖朝は日本にも支店があり、
日本国内にマンゴープリンの一大ブームを起こしたことでも有名。

北京の六本木と言われる「三里屯」という、
イケイケの場所に位置しており、この店の周りは全て高級クラブだった…。
ちなみに、最近出来たばかりらしい。

6時半の入店時は人が少なかったものの、7時ごろには既に人が一杯になっていた。

入ってみると、店の中は落ち着いた雰囲気。

店員のサービスもかなり行き届いる。

ただし、値段もそれなり…。
一つの料理が一皿49元程度する。

普段、一皿20元程度の安めの料理店で慣らしている身としては、中々に辛かった。


以下、注文した料理。

菠萝咕咾肉。

中国で初めて食べた酢豚。
普段わたくし、広東料理を中々食べない為、めったにお目にかからないのだ…
さくさくに上がった衣、甘~いタレ、そしてパイナップル…。おかずというか、まるでお菓子。
日本の酢豚はあまりお菓子感が無いのに、これは不思議とお菓子感が強かった。
しかし、美味しい。


干炒牛河。

次に注文したのは、干炒牛河。
「河」というのは、「河粉」という種類の麺の意味。
広東省で良く食べられる、平たい形のライスヌードル
これはその河粉を、広東っぽい甘いソースで炒めた料理。
プルプルしたみずみずしいライスヌードルは、炒めると卵麺とは全然違った味わいで美味しい。
普段激辛料理ばかり食べている身としては、とても上品に感じてよかった。


即叫即制鲜炸两

名前が非常に複雑…。
中に、「油条」という、中国でよく朝ごはんとして食べられるパンを、
澱粉で出来ていると思われる、プルプルの皮で包んだ料理。
店の紹介では「粉肠」という料理の一ジャンルとして扱われていた。


糖朝干腊肠。

こちらは干しソーセージ。
サラミみたいで非常に美味しかった。
つまんでいる内にあっという間に無くなってしまった。


そして、最後に、糖朝と言えば、デザート!


鲜芒果冻布甸

日本でも大流行を起こした、マンゴープリン!

昔ブームだった高校生の時、親が良く都内に行った帰りに
お土産として買ってきてくれたものだ…。
その時と何も変わらない濃厚な美味しさ!

この周りにかかったソースも絶品。


豆腐花杏仁露

甘みのない豆腐花の上に、あんにんのソースを載せたもの。

日本では中々味わうことが出来ない、
本物のあんにんの香りが強く感じられて、
食べれば食べるほど、後を引いてしまうお味だった。




香蕉糯米卷

餅でバナナをくるんだおやつ。

皮がモッチモチでとても美味しかった。
周りのココナッツも最高。




というわけで、今回も全く外れがない、お上品で美味しいお料理ばかりでした。
普段、日本では絶対食べられないような料理ばっかり敢えて求めているところがあり、
こういう上品な広東料理は食べないのですが、こういうのもたまには良いかも。

2013年5月7日火曜日

湖北料理@九头鹰酒家

今回は、湖北料理のお店、九头鹰酒家を訪れた。


こちらは北京市内に十店舗程度存在するチェーン店で、
中国の食べログ的なサイト、「大众点评」での評判も悪くなく、常に人が出入りしている。

どこの店舗も左の写真のように、やや派手目な看板になっている。
なお、店内の内装は、お店曰く「優美で華やか」という事なのだが、中途半端にバブリーな雰囲気で、あまり上品とは言えない…

なお、食事の写真の前に、湖北料理とは一体何なのか、眉唾ながら解説をさせていただく。




中国では、各地方ごとに、味の特徴がある。
有名な言葉では「南甜北咸 東辣西酸」と言われ、
南の地域は味付けが甘く、北はしょっぱく、東は辛く、西は酸っぱいというものだ。

そもそも湖北料理発祥の地、湖北省の場所は、長江の流域で、昔から交通の要の場所にあった。
そのため、様々な地方の味を取り入れており、しょっぱさ・甘さ・辛さ・酸っぱさ、どれも存在し、
湖北料理の分類は非常に難しくなっているという…。

御託が長くなってしまったが、というわけで、食べた料理の写真を貼っていこうと思う。


小炒神农笋」。
別名「腊肉炒竹笋」とも。(こっちの方が一般的)
湖南料理にもあるという料理。
細いタケノコを、唐辛子と、腊肉と炒める。
腊肉というのは、塩や調味料を使って漬け込んだ豚バラ肉を燻製して作る、ベーコンのような食べ物。
中国の内陸部では良く作られている料理で、単体で非常に塩味が強い。
この料理は、この腊肉の味に非常に影響されやすく、この肉がまずい店も多いのだが、ここはいつ食べてもそこそこ美味しい。






こちらは「腐竹烧肉
これも湖南省にも存在する料理。
腐竹と豚バラ肉を炒める料理だ。
腐竹」というのは、湯葉の事。
乾燥湯葉で、その細いルックスが、干からびた竹のような見た目であることから、其のように呼ばれている。
日本の湯葉とは違い、かなりしっかりしていて、歯ごたえがあって、私にとっての好物の一つだ。

この店のこの料理は、使っている豚バラがちょっと脂肪が多すぎたが、味は綺麗にまとまっており、中々美味しかった。




こちらは「共湖莲藕炖排骨小例
別名「排骨藕湯」とも(やはりこっちの呼び名が一般的)
蓮根は湖北を代表する有名食材なので、勿論この料理は湖北を代表する料理とされている。
タケノコとスペアリブを、生姜や酒と共に煮込んだスープだ。
この料理が、非常に美味しかった。
特に美味しかったのが蓮根!日本の蓮根とは種類が違うのだろうか。
ホクホクとして、粘りがあって、まるで芋のよう!
私は本当は蓮根のさくさく感が好きなのだが、これはこれで非常に良い。


こちらも湖北を代表する料理、「清蒸武昌魚
湖北の省都、武漢の地名である武昌を冠した料理だ。
毛沢東も大好きだったという料理で、鳊鱼と言われるナマズを煮込んだ料理だ。
この店イチ押しの料理で、おねだんもそこそこするのだが、しかし、残念ながら我々の好みではなかった…。
というのも、やはり川魚。臭いのだ。
新鮮な海の魚に慣れている日本人には、よほど良い魚ではないと、中国の川魚は食べられない。
美味しい川魚のお店も、あるにはあるのだが、ここはどうやら違ったようだ。


最後にあまり美味しくなかった料理を持ってきてしまった物の、
ここは珍しい湖北料理な上に、全体的なレベルがそこそこ安定しているという、非常に使いやすい料理店だ。
もし湖北料理に興味があったら、一度訪ねてみるのも良いと思う。





2013年5月6日月曜日

重慶火鍋@乐天府

北京には、数多くの火鍋料理店がある。

チェーン店から個人経営店も含めると数えきれない程存在しており、十件に一件火鍋を出す店があるのでは、と疑ってしまう程だ。

そんな中で、今まで私も数多くの火鍋店を訪れた。
数多く、と言っても、北京の中のほんの一握りには過ぎないが、それでも私の中で、現時点で最も優れていると思う店を、紹介しようと思う。

ここがそのお店、乐天府
鍋の湯気でガラスがもうもうと煙っていて、中の様子が見えない。

入ると、元気の良い背の小さい女性店員たちが、とても愛想よく迎えてくれる。

店に入るなり、まず最初に、火鍋かそれ以外かを尋ねられる。
そうするかしないかで、テーブルセットの状態が変わるのだ。
ここは、それ以外のメニューも安定して美味しいのだけれども、今回は火鍋を頼むこととする。

火鍋には何種類かあり、さらに季節限定の火鍋も登場する。
今回紹介させていただくのは、鸭头火锅。この店の一押し料理。
この得体のしれない名前の料理を、店員に勧められるがまま初めて頼み、
そして運ばれて来た料理を目にした時は、大層驚いた物だった。


特大の洗面器いっぱいの、鴨の首…。

洗面器の中に、何十匹もの割られた鴨の首から上が放り込まれているのがお分かり頂けるだろうか。
よく見ると所々でくちばしが飛び出している。
そして、店員から「はい」と渡されたのは、使い捨てビニール手袋。

(鍋を頼んだはずだったのに、一体どうしてこんな事に…!?)

我々は途方に暮れ、店員を呼び止め、質問をする。
「これはどうやって食べるの?」
その言葉に、店員は目を丸くして答えた。
「どうやってて、そのままだよ!」
「そのままって?」
「こうやって掴んで、そのまま食べるだけ」
どうやら、頭についた肉をまずはムシャムシャ食べるらしい。
驚きながらも、くちばしをとって、何とか食べてみようとしていると、
その様子を見ていた店員が、こちらに尋ねてきた。
「あなた達、どこの出身?」
「日本だよ」
「へ~!じゃあ日本には、この料理ないんだ?」
あるわけないだろ!


さて、気を取り直して、くちばしを手に取って、割られた鴨の頭を、口にしてみた。

う…うまい…。
割りと予想をはるかに超える旨さだった。
この頃は、我々は日本から到着したばかりで、中華料理に慣れていなかったので、
こんな料理の方式で、こんなに美味しい物が有ることに対して、本当に驚いた。
かなり辛い、しかし、花椒や八角の香りがバツグンだった。

そのまま夢中になっておよそ20羽の鴨の頭を全て貪り尽くす
食べ終わった所でどうすればいいのか分からず、店員を呼ぶと、今度は店員は空の鍋を持って店の奥に消えていった。


店員は、今度は先ほどの洗面器に、だし汁を並々と入れて再び登場した。
なるほど、恐らく、鴨で出汁を取っただし汁の中に具材を入れて、火鍋をしろという事なのだろう。

しかし、机の上に、ドンと豪快に置かれたそれは、表面にぷつぷつと油が浮き、まるで地獄のようだった。

本当にこれは鴨のだし汁なのだろうか?
運ばれてきた羊肉を、とりあえずくぐらせて食べてみる。


「…あれ?」

私は首を捻った。
辛いことは辛い。しかし、思ったほどには辛くないのだ。
それより、上品な美味しさの方が、はるかに感覚的には上回る。

まさかと思った私は、表面に浮かぶ、下品なまでに真っ赤な分厚い油の層をかき分けた
すると、その奥に眠っていたのは、信じられないくらい清湯な、鴨の出汁が効いた上品なスープだった…

この計算され尽くした鍋に、私たちは思わず拍手せずにはいられなかった。
ドヤ顔で「美味しいでしょ?」と聞いてくる店員に対し、私たちは「勿論!」と答え、親指を立てた。



この店は、マイルドな白スープと、激辛赤スープのおしどり鍋も美味しい。


なお、重慶火鍋をする際の、一般的なおすすめ具材を、ここで紹介したいと思う。
おすすめの具材は、重慶火鍋なら勿論、毛肚(黒センマイ)と鴨血(鴨の血をプリン状に固めたもの)。
主食は、緑豆で作った日本にはない乾麺、杂面が個人的にはおすすめ!

ちなみにタレは、勿論今中国で大人気の甘いごまだれ「麻酱」。

この麻酱と辛い火鍋と毛肚を組み合わせるのが至高の味だと、私は信じてやまない。






2013年5月5日日曜日

北京料理@海碗居

北京には、言わずもがな、北京料理の老舗が沢山ある。

その中においても、特にその代表格と言われるのが、この「海碗居」。
美味しい店が乏しいパンダで有名な北京動物園の近辺にある為、
北京動物園に寄った後の食事処としてもおすすめだ。


「海碗居」とかかれた、このレトロ?な看板が目印だ。

しかしまあ、お昼時を外したにも関わらず、前に並ぶこの車の数!
中国人は基本的に、11時半から1時の間に、きっかりとご飯を食べる習性があるため、非常に珍しいことだ。

ここがどれだけ人気店なのかが、ここからも伺えるだろう。



我々は、期待に胸をときめかせながら、店内へと足を進めた。
するとそこには、写真の通り、いっぱいの人が!
相席なんて当たり前、というかそもそも、店に入っても店員が忙しくて案内してくれない。

そのため、自ら店の中を突き進み、食事が終わりそうな卓を自分で見つけて、横でプレッシャーをかけて先客にどいてもらうという、大変自由な座席確保形式である。

そうして我々は、やっとのことで座席を確保した。


炸醤麺

まずは、北京名物炸醤麺(ジャージャーメン)から頂く事としよう!
私は、ここに来る前に過去二回、北京市内の老舗の炸醤麺を食べたのだが、どちらも正直イマイチとしか言いようがなかった。
しかし、ここの店は、最も美味しいという噂だ。
きっと美味しいに違いない、というか、ここが美味しくなければ、炸醤麺という料理が美味しく無い事になる…!

緊張しながら、味噌を麺の上にぶっかける。
そして一口すすった結果…

「美味しくないな」
「やっぱり炸醤麺は美味しいものじゃないな」

やはりここでも撃沈…。
しかし、我々のメインは炸醤麺ではない。
無限に種類があると言われている、北京小吃なのだ!

美しき北京小吃達。

そして登場した、四種類の北京小吃達。
中々良い布陣だ。

このアイドルユニット、まずは順々に紹介しよう。


こちら、炖腔骨ちゃん!

とろ火で煮込んだ空洞の骨の意味。
わかりやすく言うと、「豚の背骨ドーーン!」な料理。

見た目はごついが、食べるところは少なく、ひたすら背骨の周りについた肉をむしゃむしゃとしゃぶるのみ。
中心部に近づけば近づくほど、コラーゲンが増えて食感がぷりぷりになっていく。

骨の髄まで頂いちゃってね!!



こちらは、芥末墩ちゃん!
辛子の切り株の意味。
北京小吃の中でも、みんなのアイドル的存在

白菜をからしに漬け込む前菜なんだけど、
黄色いのは勿論全部、からしです。
美味しい!超美味しい!
でも食べれば食べるほど、ドンドン気が遠ざかる!不思議!
さすが北京小吃のスパイス・ガール!


こちらは、小葱豆腐ちゃん。

ただの豆腐を小葱と和えただけの小吃です。
でもこれも立派な北京小吃。

つまらない料理なんて言わないで。
彼女がいるから、パンチが効き過ぎた料理も、あっさりマイルドになるんです!



そしてこれが、お待ちかね、麻豆腐ちゃん!

麻婆豆腐じゃなくて、麻豆腐。

これも北京を代表するかなり有名な小吃の一つ。
おからを油(植物性油or羊の脂)で炒めた物。
今回頼んだものは植物性のもの。
これが今回一番のヒット。
見た目も味も濃厚な、カニ味噌みたいで、でもコクがあるのにクドくない…。
次は羊の脂で炒めた君も、是非たべてみたいなッ!!


というわけで、全体的にレベルが高く、これぞ「北京料理!」と思えるような北京料理を、十分に堪能することができました。





北京ダック@アマン・アット・サマーパレス北京

今回は、世界的に有名な高級ホテルチェーン、アマンリゾートの北京支店「アマン・アット・サマーパレス」を訪れた。
何故ここを訪れたのか、その理由はただひとつ、ここには「北京一美味しい北京ダック」があると聞いたから。
北京で一番美味しい北京ダック、つまりすなわちそれは、世界で一番美味しい北京ダックがあるという事を意味する(と思う)。

ところでこのアマンリゾート。何故「アマン・アット・サマーパレス」と言うのか。
サマーパレスとは一体なんなのか。
この名称は、このホテルの立地に関わってくる話になる。
みなさんは、北京の世界遺産「頤和園」をご存知だろうか。
頤和園は、一度第二次アヘン戦争で英仏により、完膚なきまでに潰されてしまったのを、かの悪名高き西太后が、当時の国の財力を全て注ぎ込んで再建した庭だ。
西太后が、ここを避暑地として利用したことから、頤和園は別名「サマーパレス」と呼ばれる。

アマンリゾートは、この頤和園の一部として存在する。
頤和園のそばにあるのではない、頤和園のかつての厨房の部分に存在する、とんでもないホテルだ。
さらに言うと、このアマンリゾート、宿泊者は皆、開園前の頤和園内部に自由に出入りすることができ、西太后気分を味わえるというのが売りなのだ。
(←なお、西太后はこの池を掘って余った土で右側の山を作りました。スケールがやばい)

さて、これで、アマン・アット・サマーパレス北京が、どれくらい凄いホテルか、お分かり頂けただろう。
このように、由緒正しき恐ろしくランクが高いホテル、それ故私たちは、ここにどんな素晴らしい北京ダックが有ると聞いても、足を踏み入れることが出来なかった。料金が怖かったからである。


…しかし、機は熟した!
この度、義両親が北京を訪れるという事なのである。
これは、是非とも一番美味しい北京ダックを食べていただかなければ。ここで行かなかったらいつ足を踏み入れるというのだろう。
というわけで、この度、我々は、アマンリゾート・アット・サマーパレス北京に、足を踏み入れる事にしたのだ。

(←神々しい入り口)


しかし、入り口に入ってみると、何が何だか分からない。さすが高級リゾート、敢えて、どの建物がどの施設なのかを、完全に隠してあるのだ。一見様お断りのそのすごすぎる雰囲気に思わず怯む。
しかし、我々は客だ。予約もしてある、客なのだ!

というわけで、そこら辺を歩いていたホテルマンを捕まえ、レストランまで案内させる。しかし、このホテルマン、中国人とは思えない位態度が良く、物凄く洗練されていた雰囲気を持っている。思わず怯む我々。
しかし、我々は客だ。客なのだ。いくら貧乏臭い格好をしていても、客なのだ!

ホテルマンに案内してもらったそのレストランは、周りから見ると全くレストランなことが伺えない、質素な作りとなっていた。
やや戸惑いながら店内に入ると、そこには、洗練されたモダンな空間が広がっていた。

訓練が行き届いたホテルマン達に注文を頼むと、今から焼くので一時間かかる、と言われる。
どうやら、レストランの予約はとれていたが、ダックの予約はとれていなかったようだ。

一時間の間に、まずは我々は、飲み物とサイドメニューを頼む事にした。




まずは3品。

 

左はどの店でも頼むきくらげの冷菜
我々は常に、きくらげの冷菜で、そのお店の実力と方向性を探れると主張しているのである。ここのきくらげは、勿論プリっとして超絶美味しかったのだが、物凄く上品な味わいで辛さがなく、流石高級店の期待を裏切らない仕上がりだった。
右は生野菜の酢漬けサラダ。コリコリのくらげとセロリと玉ねぎと人参。こちらも超あっさりしていて美味しい。

 こちらは、店員に人気ナンバー2だと聞いたので頼んだ、謎の豆腐料理
これが驚く程美味しかった。
豆腐の部分に、卵白が多めに使われているような。
そして、この黄色いソースは、良く分からないけど卵の黄身かな…?

あまりの美味しさに、四人で一瞬でたいらげてしまった。
この味のレベル…相当期待出来る…!



そしてついに、おまちかねのあいつが登場する…!



北京ダック!北京ダック!北京ダック!


脂がテカテカと滴りおちる、なんて美味しそうなそのルックス。
まさに一目惚れ。一時間待ったかいがあるというものだ。


用意された小麦粉のうす皮はおよそ10枚程度。ホテルマンは、それを目の前で丁寧に巻いてくれる。(しかし美味しくなさそうにしか撮れなかったので、写真は割愛)

北京最高とは、果たしてどのようなものか…。我々は、緊張をしながら、その一つを手に取り、口にする…。

ああ…なんという幸福!

とんでもなく美味しかった。今まで過去何回か北京ダックを食べたが、間違いなく過去最高。

ああ、これを味わうために私はきっと北京に来たのだ…!


小麦粉の皮が全部売り切れて、残ったのは北京ダックの皮と肉。
皮が信じられない位美味しいのは勿論、この店の素晴らしさは、とにかく肉の旨さにあった。
鶏肉なのに、パサパサ感ゼロ。
たかが一時間焼いたくらいで、こんなに肉って美味しくなるものなの…!?


北京ダックとしては提供されない、皮から遠い体の内側の方の肉は、このように料理して出してくれる。

今回は炒めものとしてオーダー。ここでもまた、肉の美味しさを確信。


今まで私はなめていた!鴨のポテンシャルを!


 

続いて頼んだのは、チャーハンと麺料理
チャーハンはごく普通。相変わらず日本の方がレベルが高い。
中国では、どんなに美味しいレストランで頼んでも、チャーハンは普通なものなのだ。

一方、麺のシコシコさが尋常ではなかった。
歯ごたえが強く、噛み切るとプリっと言う食感がする。さすが一流。


そしてこれが、予想もしなかった今回の大ヒット、胡麻プリン
こんな胡麻プリンこの世にあって良いのか、と言わずにはいられない位美味しかった。

白ゴマを使っているんだけど、多分生クリームなどと合わせてあって、まさに絶品だった。

いや~アマンリゾート最高!

しかし、我々をもっと驚かせたのは、会計での出来事だった。




我々が頼んだのは、これらに載っている全ての料理(鴨一匹含む)と、アルコール5本、お茶2壺。
正直、かなりの金額になることを予測していた。しかし、提示された金額は…。

「お会計全て含み、1700中国元でございます」

えっ!

思わず声を上げた。1700中国元と言えば、レートが過去最高に悪い今(1元=16.5円)の今のレートで計算しても、28000日本円…。

つまり、四人で割ると、一人7000日本円…!?

こんなに最高の美味しさと接客と雰囲気で、こんなに安くていいんですか!?

いや~アマンリゾート最高!!

こうして、世界一の北京ダックの美味しさを、存分に満喫した、我々四人であった。