何故ここを訪れたのか、その理由はただひとつ、ここには「北京一美味しい北京ダック」があると聞いたから。
北京で一番美味しい北京ダック、つまりすなわちそれは、世界で一番美味しい北京ダックがあるという事を意味する(と思う)。
ところでこのアマンリゾート。何故「アマン・アット・サマーパレス」と言うのか。
サマーパレスとは一体なんなのか。
この名称は、このホテルの立地に関わってくる話になる。
みなさんは、北京の世界遺産「頤和園」をご存知だろうか。
頤和園は、一度第二次アヘン戦争で英仏により、完膚なきまでに潰されてしまったのを、かの悪名高き西太后が、当時の国の財力を全て注ぎ込んで再建した庭だ。
西太后が、ここを避暑地として利用したことから、頤和園は別名「サマーパレス」と呼ばれる。
アマンリゾートは、この頤和園の一部として存在する。
頤和園のそばにあるのではない、頤和園のかつての厨房の部分に存在する、とんでもないホテルだ。
さらに言うと、このアマンリゾート、宿泊者は皆、開園前の頤和園内部に自由に出入りすることができ、西太后気分を味わえるというのが売りなのだ。
(←なお、西太后はこの池を掘って余った土で右側の山を作りました。スケールがやばい)
さて、これで、アマン・アット・サマーパレス北京が、どれくらい凄いホテルか、お分かり頂けただろう。
このように、由緒正しき恐ろしくランクが高いホテル、それ故私たちは、ここにどんな素晴らしい北京ダックが有ると聞いても、足を踏み入れることが出来なかった。料金が怖かったからである。
…しかし、機は熟した!
この度、義両親が北京を訪れるという事なのである。
これは、是非とも一番美味しい北京ダックを食べていただかなければ。ここで行かなかったらいつ足を踏み入れるというのだろう。
というわけで、この度、我々は、アマンリゾート・アット・サマーパレス北京に、足を踏み入れる事にしたのだ。
(←神々しい入り口)
しかし、入り口に入ってみると、何が何だか分からない。さすが高級リゾート、敢えて、どの建物がどの施設なのかを、完全に隠してあるのだ。一見様お断りのそのすごすぎる雰囲気に思わず怯む。
しかし、我々は客だ。予約もしてある、客なのだ!
というわけで、そこら辺を歩いていたホテルマンを捕まえ、レストランまで案内させる。しかし、このホテルマン、中国人とは思えない位態度が良く、物凄く洗練されていた雰囲気を持っている。思わず怯む我々。
しかし、我々は客だ。客なのだ。いくら貧乏臭い格好をしていても、客なのだ!
ホテルマンに案内してもらったそのレストランは、周りから見ると全くレストランなことが伺えない、質素な作りとなっていた。
やや戸惑いながら店内に入ると、そこには、洗練されたモダンな空間が広がっていた。
訓練が行き届いたホテルマン達に注文を頼むと、今から焼くので一時間かかる、と言われる。
どうやら、レストランの予約はとれていたが、ダックの予約はとれていなかったようだ。
一時間の間に、まずは我々は、飲み物とサイドメニューを頼む事にした。
まずは3品。
左はどの店でも頼むきくらげの冷菜。
我々は常に、きくらげの冷菜で、そのお店の実力と方向性を探れると主張しているのである。ここのきくらげは、勿論プリっとして超絶美味しかったのだが、物凄く上品な味わいで辛さがなく、流石高級店の期待を裏切らない仕上がりだった。
右は生野菜の酢漬けサラダ。コリコリのくらげとセロリと玉ねぎと人参。こちらも超あっさりしていて美味しい。
こちらは、店員に人気ナンバー2だと聞いたので頼んだ、謎の豆腐料理。
これが驚く程美味しかった。
豆腐の部分に、卵白が多めに使われているような。
そして、この黄色いソースは、良く分からないけど卵の黄身かな…?
あまりの美味しさに、四人で一瞬でたいらげてしまった。
この味のレベル…相当期待出来る…!
そしてついに、おまちかねのあいつが登場する…!
北京ダック!北京ダック!北京ダック!
まさに一目惚れ。一時間待ったかいがあるというものだ。
北京最高とは、果たしてどのようなものか…。我々は、緊張をしながら、その一つを手に取り、口にする…。
ああ…なんという幸福!
とんでもなく美味しかった。今まで過去何回か北京ダックを食べたが、間違いなく過去最高。
ああ、これを味わうために私はきっと北京に来たのだ…!
小麦粉の皮が全部売り切れて、残ったのは北京ダックの皮と肉。
皮が信じられない位美味しいのは勿論、この店の素晴らしさは、とにかく肉の旨さにあった。
鶏肉なのに、パサパサ感ゼロ。
たかが一時間焼いたくらいで、こんなに肉って美味しくなるものなの…!?
たかが一時間焼いたくらいで、こんなに肉って美味しくなるものなの…!?
今回は炒めものとしてオーダー。ここでもまた、肉の美味しさを確信。
今まで私はなめていた!鴨のポテンシャルを!
続いて頼んだのは、チャーハンと麺料理。
チャーハンはごく普通。相変わらず日本の方がレベルが高い。
中国では、どんなに美味しいレストランで頼んでも、チャーハンは普通なものなのだ。
一方、麺のシコシコさが尋常ではなかった。
歯ごたえが強く、噛み切るとプリっと言う食感がする。さすが一流。
そしてこれが、予想もしなかった今回の大ヒット、胡麻プリン。
こんな胡麻プリンこの世にあって良いのか、と言わずにはいられない位美味しかった。
白ゴマを使っているんだけど、多分生クリームなどと合わせてあって、まさに絶品だった。
いや~アマンリゾート最高!
しかし、我々をもっと驚かせたのは、会計での出来事だった。
我々が頼んだのは、これらに載っている全ての料理(鴨一匹含む)と、アルコール5本、お茶2壺。
正直、かなりの金額になることを予測していた。しかし、提示された金額は…。
「お会計全て含み、1700中国元でございます」
えっ!
思わず声を上げた。1700中国元と言えば、レートが過去最高に悪い今(1元=16.5円)の今のレートで計算しても、28000日本円…。
つまり、四人で割ると、一人7000日本円…!?
こんなに最高の美味しさと接客と雰囲気で、こんなに安くていいんですか!?
いや~アマンリゾート最高!!
こうして、世界一の北京ダックの美味しさを、存分に満喫した、我々四人であった。
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