2013年8月27日火曜日

【西夏&河西回廊を巡る旅】序章

2013年8月12日から8月22日まで、11日間に渡って、
銀川(寧夏回族自治区)→蘭州市(甘粛省)→張掖市(甘粛省)→嘉峪関市(甘粛省)→敦煌市(甘粛省)
と、5ヶ所を回ってきました。



以下は、都市をより深く理解するための、ちょっとした歴史の話しです。


☆銀川市

銀川市は、西夏王朝の首都として、昔栄えた土地。
西夏は、西暦1000年代から200年程度栄えた騎馬民族系の少数民族国家。現在中国を支配する漢民族とは別の、独自の文化と非常に個性的な文字を持っていた事で有名。
チンギスハーンに滅ぼされて、その後の行方が一切不明な国家。砂に消えた幻の国家と言われている。
現在は、中国の中で唯一の回族(イスラム教徒)の自治区、寧夏回族自治区の省都。
この街の一番の見所は、正夏時代の王の墓、「西夏王陵」



☆蘭州~敦煌

蘭州から敦煌に至る道は、「河西回廊」と呼ばれてる、古代シルクロードを形成する重要な拠点となっていた場所。
漢の武帝が開拓した場所で、近くの祁連山脈を水源とする、砂漠の中のオアシス都市。

・蘭州市
黄河に沿った平地に栄える、ほそなが~~~~い都市。
過去の歴史上には余り登場しないが、今は中国きっての大都会で、甘粛省の省都。
甘粛省は石油埋蔵量が中国1位のため、それを生成する石油工業で成り立っている。
そのため、公害が酷い事でも有名。
街の中心を流れる黄河以外には見所は無いが、日本でも食べられているラーメンの原型、「蘭州拉麺」で非常に有名。

・張掖市
マルコ・ポーロが長期滞在していたことで有名な都市。
漢代に、霍去病がここ一帯を支配していた遊牧民族匈奴を破って手に入れた、シルクロードの要塞。
今でこそ勢いは無いものの、土地と水が良いということで、「金の張掖」としてかつては有名だった。
日本にも元寇として攻めてきた、5代目モンゴル帝国の皇帝、フビライ・ハーンが生まれたお寺がある。
近年中国国内で観光地として急に人気が出始めた、美しい地層群、「丹霞地貌」がある。

・嘉峪関市
ここのメインの嘉峪関は、明の時代に設置された雄大な関所。明の時代では、ここまでが中国とされており、そこから西は西域とされていた。
万里の長城の起点(終点?)もある。

・敦煌市
井上靖の小説「敦煌」や、80年代のシルクロードブームを牽引したオアシス都市。
漢の時代の最も西の場所で、2100年前はここから西が西域とされていた。
街の中を、山脈と同じ規模の砂漠山脈が走る。
最大の観光名所は、言わずと知れた中国三大石窟の一つ、莫高窟
莫高窟は、355年から作られ始め、その後1000年に渡って、掘り続けられた。
敦煌は時代によって支配する国家や民族が違ったため、各民族と時代の特色が色濃く残されている。
その後は忘れられた存在であったが、1900年後に、第16窟の壁の中から、唐代以前の大量な貴重な文書(敦煌文書)が発見され、一躍有名になった。



では、お楽しみ頂ければ幸いです!



2013年8月23日金曜日

四川料理@川京办餐厅

本日は、北京にある四川料理の名店川京办餐厅を紹介する。

北京には、各省政府の駐在所があり、そこに併設されている食堂は、地方役人が、官僚や政治家を接待するための場所として良く使われていることで有名。
どの省の食堂も、かなり高レベルであるのだが、その中でも、一番有名なのが、この四川省の食堂。
四川省政府が四川省のトップ5クラスのコックを引き抜いて作らせているというレストランで、出てくる料理はどれも外れがまったくない。
中国国内で最も美味しい総合的な四川料理飯店と言っても良いのでは、と名高い名店である。


しかし、この四川省レストラン、GPSが無ければ、または道を熟知している人が居なければ、辿り着くのは至難の業だ。

なぜなら、兎にも角にも、外見が全くレストランの見た目をしていないからだ。
場所自体は、建国門という、北京でも数多くの大使館が集まるメジャーな場所にあるものの、入居しているのはどう見ても古いただのビジネスビルで、外観からはとてもじゃないけれども、この中にレストランがあることが分からない。
そして、やっとのことで見付けたとしても、そもそも入っていいのか分からない。
写真の通り、入り口は塞がれており、柵の左側が申し訳程度に開いているだけ。とてもじゃないけれども入っていいのか分からない。


心を強くもち、この細い隙間を何とかしてすり抜け、さらに建物の反対側に回りこんであるのが、こちらの入り口。
ここまでくれば、さすがにここがレストランである事に自信がもてるようになる。

この入口から中に入ると、そこには、こんな分かりにくい場所に、どこから湧いたのかと思うほどの、順番待ちの人たちがたむろしている。



そして、長い間順番を待ち、やっと自分の番号が呼ばれた後、いざ入店!

コチラは、油麦菜という、キク科の野菜。

中国では超メジャーで、生でも良し、炒めても良し、鍋に入れても良しの、万能野菜として活躍している。日本名はムギレタスと呼ぶとか。

この料理は「麻酱油麦菜」という料理で、ナマの油麦菜の上に、麻醤と呼ばれる今中国で大流行中の、すったいりゴマのタレをかけるだけの、シンプルな料理だ。
最近の私のお気に入り料理でもある。

ほろ苦い味のする、軽い歯ごたえの新鮮な油麦菜と、甘くて香ばしい麻醤の組み合わせは、シンプルながらも最強と言わざるを得ないだろう。




次に紹介するこの料理、名前は「口水鸡」という冷菜だ。日本では、「よだれ鶏」という名前で入ってきているようだ。
四川料理の中でも、私はとにかくこの口水鶏が大のお気に入りで、四川料理の店に行くと、必ずこれを頼んで、その店のレベルをはかる事にしている。
特にこの店の口水鶏は最高!日本に帰った時、食べられない事を嘆くこと必至の、至高の逸品に仕上がっている。勿論店の一番人気
特に、鶏もも肉の周りに浮かぶ、赤い油の美味しさと言ったら!一口口にすると、香ばしさ、甘さ、うまみ、圧倒的な辛さが一気に押し寄せる
初めて食べた時、私はあまりの美味しさに感動し、この油を飲み干し、翌日酷い下痢に見舞われたレベル。それでも食べたいし、それでもまた油を飲んでしまう。これがこの店の口水鶏の持つ魅力だ。


次は、日本でもおなじみ、「麻婆豆腐」。

中国では、日本ほど麻婆豆腐は人気が無い。
お昼に10元位でまずそうな麻婆豆腐丼を食べている人は見かけるものの、夜に一品別で頼むような存在ではなく、あまり頼んでいる人をみかけない。
しかし、この店の麻婆豆腐は別。数多くの中国人達が注文し、中国の食べログでも高評価の一品だ。
しかし、注文してはみたものの、日本人的にはあまりその特別さが分からず…。
かたい木綿豆腐に油と肉を絡ませ、大量の山椒をふりかけたこの料理は、美味しいは美味しいものの、日本の麻婆豆腐ほどではない
ちょっと日本は麻婆豆腐に特化しすぎてしまっているのだと思う…。

次は、先ほどの口水鶏と同じく、この店の名物料理である、「毛血旺」。
毒々しい見た目だが、具材も中々に毒々しい。真っ赤な油の中に、鴨の血と、牛のセンマイ、牛の気管支等の各種内臓と、もやしやタウナギのぶつ切りをぶち込み、唐辛子で辛く煮込んだ料理である。最初はそのルックスと作り方に驚くものの、一口食べれば誰もが虜になること間違いなし!
四川料理店ならどこでもある毛血旺だが、この店の毛血旺は特に絶品
良い油を使っているのだろう、嫌なベタベタがなく、ただ旨みだけが、口いっぱいに広がるのだ。




そろそろ締めの食べ物を紹介しよう。

こちらは、「凉面」という冷たい麺。
この店の夏季の人気メニューだ。
上に乗っているのは、納豆ではなくピーナッツ!

私は中国特有の、このコシのないぼそぼそした小麦麺があまり得意ではないもの、この人気料理は、味付けが大変上手なため、麺の事を気にせず、ぺろっと食べることが出来た。

こちらは「农家炒饭」(名前うろ覚え…)

レタスや卵などを一緒に炒めた普通のチャーハン、と私は思う。

しかし、今まで共に行った数多いチャーハン好きの方々は、ここのチャーハンを、美味しいと言って大量に食べるので、きっととても美味しいのだろう…。

チャーハン好きな人には、是非味わってほしい。そして感想を私に教えてほしい。

この御店は本当に最高なので、帰国までにあと何度も通い詰める覚悟である!
さらに、本場四川省より美味しい料理が揃っていると言うので、一度四川省に言って食べ比べもしようと思っている。
今回掲載した写真は、過去に何度も行った中で美味しいと評判の物を選りすぐりで出しているから一杯掲載したものの、本当は毎回本当に少ししか私は食べていない。
食べたいという意欲と、胃の容量や強さが全く追い付いていない…。くやしい…!

来世は強靭な胃袋と消化力を持った身長200センチメートル位ある人になりたい!
なおかつ白人の男で、アメリカの裕福な家庭に生まれて、賢い頭脳を持ち合わせ、ラグビーのセンターバックとして活躍して、クイーンビーと付き合い、良い会社に就職して、海外旅行先で自分は母国語しかしゃべれないのに「おやおやここの国民は英語が下手だなあ」と見下してしまう、そんな世界のマジョリティの最も頂点に立つ男になる!